橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第三十七歩)
■”マンションには様々な人が?!合意形成は大事ですね。”
マンション管理士の橋本です。
暖かい春を迎え、新たな生活をスタートされている方も多いかと思います。
このメルマガを読まれている方でも新生活を始められているのではないでしょうか?!
その中には新たな住まいとしてマンションに住まわれている方もいると思います。
そんなマンションは、多くの方が住む共同住宅であり、色々な方が住んでいます。
若い人もいれば、年配の方もいます。
日本人の方もいれば、外国の方もいます。
所有者の方もいれば、賃貸の方もいますまた、家族構成も1人、ご夫婦、お子さん、また、おじいちゃんおばあちゃんも一緒の大家族で住んでいるところもあります。
そして、マンション管理組合員(所有者)も色々な方がおられます。年齢も違えば、生活、お仕事、家族構成、そして、住まいに対する考え方も千差万別です。
それがよく分かるのが、総会であり、その執行機関である理事会です。
自己主張をされる方もいれば無関心な方もいます。そして全体的な事を考えられる人もいれば自分の事を最優先に考えられない人もいます。
そしてそれらの人達が集まって議論するのが総会(コンパクトな意味では代表が集まる理事会)の場です。
その中で、実際に関わったマンションであった話、そうこの様な色々な人が暮らしているマンションの組合員同士での総会でのやり取りの一コマでしたが、
その時は、いくつかの議案中で、
① 規約の一部変更
② インターネット設備導入とそれ伴うハード面での工事
といった内容でした。
補足説明をさせて頂くと、
①については、昨今、コロナ時期、またの時期を経て、対面での理事会、総会が難しい場合もある事から、標準管理規約においてITを利用した会議についての追加記載等もあり、それに準ずる形で、且つ、他の項目を含めた一部規約変更の議案でした。
そう、コロナ禍において、ITを使った理事会等の内容が規約にない事で、組合の管理運営が滞った事をふまえての備えとしての内容でもあります。(そうリスクに対して予防する内容です。)
そして、②は、建物のインターネット設備が古くなり、建物までは光配線が来ているのですが、現状館内は電話線のため、それを光配線に変える事を目的とした内容でした。
こちらもコロナ後のリモートでの仕事や子供たち学生たち授業、そして、社会全体で動画などを見る機会が増えた事により、速度不足、フリーズ(かたまる)という事があり、利用者からの改善の話が上がったからでした。
(これは、今のマイナスからプラスにする、資産価値を上げる内容です。)
ちなみに賃貸マンションですとワンオーナーで、決定権者も一人なので、所有者様がすると言えば決定ですが、分譲マンションにおいては、当然決定権者が複数おり、その中には先ほどお伝えした通り、色々な人がいます。
なお、ネット環境は、私もはじめ若い方、現役でお仕事される方なら仕方ない、いやいや早くしてほしいといった内容かと思われますが、
マンションにおいては、そういった考えの方ばかりではなく、そういった年齢層だけの方ではないです。
そう、総会では、ある方(数人)から、普段よりネットをあまり利用されていない方から、
「IT総会、IT理事会なんて、出来ない人はどうするのか?」
「インターネットも一部の人も利益だけで、みんなの意見の総意ではない、使わない人が支出しないといけない事に疑問がある?!」
という所からはじまり、その時の、管理会社や、その経緯にあたり理事会の対応についても話がありました。
特に長年管理組合を引っ張ってこられた方なので発言力もあり、周りも困惑する中、理事会から説明として、当然ITの理事会や総会はすぐの話ではなく、もしもの時にスムーズに対応できるための準備の話であり、ネットも設備として、リニューアルする事で、出来ていないマンションに比べて、資産価値が上がりますので、使われていない方にとってもメリットがある内容である旨をお話されていました。
ただ、確かに色々な要因、合意形成の話においての進め方など問題はあったかもしれませんし、上記のような説明をしても納得はしていただけませんでした。
結局は、多数決で可決はしましたが、あまり気持ち的にはスッキリとした感じにはなれませんでした。
そのやり取りを見て、感じたのは、おそらく、話をされている方も心の中では、当然、理解はされてはいるとは思うのですが、それ以上に、“社会への変化にともなうマンション管理の変化についての戸惑い”と、“なかなか追いつけない自分たちの事も多少なりとも考慮してほしい”との強いメッセージ、思いが、発言の裏には込められていたのではないかと思います。(それをあの場でくみ取ってあげられなかったのでスッキリした気持ちにならなかったのでしょうか?)
そう今回は、このようなITの話でしたが今後も、特にこのような年齢面やその他さまざまなカテゴリ、セグメントによって、なかなか議案がまとまらない事が増えてくると思います。特に物件が古くなるので、修繕関係で工事が増え、専有部に対して協力をも求める内容のものが増える事、また社会変化に伴い、変化を余儀なくされる管理運営体制(最近では、民泊やコロナに伴うリモート等から老いの問題<建物、人>、)、そして、建物の終活、どこまで持たすのか、建替え検討など、みんな意見をまとめるに大変な案件が目白押しです。
その中で、管理組合において、いかに組合員同士の意見をする合わせ、みんなが納得する方向性に進めるかの合意形成が大事になってきます。
その為には普段からの組合活動運営にあたりその内容の可視化、また、組合員同士でのコミュニケーション、良好な関係作り、信頼関係の構築が大事になってくるかと思います。
やはり、信頼のある同士ですと意見が違っても、何かしらで前向きな改善案、改善方向に向かい事が出来ます。
また、これには、組合員同士でも出来ると思いますが、今後考えない大きな案件になりますと、難しい場合が出てくると思われ、その際には、ある程度専門家によるサポート(マンション管理士、管理会社等)する存在が不可欠になってくるのではと思います。
そう、その時その時の助言者、アドバイザーだけでなく、将来を見越した全体的な方向性を考える上での、コンサルティングが出来るパートナーの存在は必要ではないかと考えます。
という事で、今回は住まわれているからの年齢の違い、セグメントの違いからの合意形成の大切さについて、私の体験談を通じてお話をさせて頂きました。
特に共同住宅は色々な人がいますので、その方たちの取りまとめ、より良い住環境「安全」「安心」「快適」な環境作りは、なかなか大変です。
そのことを少しでもご理解頂けますと幸いです。
それでは、また!!
(マンション管理士 橋本 和聡)