橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第三十八歩)

■マンションでの漏水事故は、なぜ大変なのか?!

マンション管理士の橋本です。
4月からの新たな生活が始まった方、多かったのではないでしょうか?!新たな生活から少し期間も経ち、ようやく新しい環境にも慣れられたことかと思います。
その中でも、多くの方が共同住宅であるマンションに住まわれているかと思いますが、そのマンションで、突然起こる事故?!今回は漏水事故についてお話したいと思います。
皆さん、漏水事故といってもどのような理由で起こるのかご存知ですか?
実は、漏水事故は、様々な理由で起こっています。
大きく分けますとハード面での理由(建物、設備の劣化に伴う理由)とソフト面での理由(住まわれている人が起因する原因、たとえば、生活態度に起因する事、設備の誤った使用方法、過失により起こる理由)に分かれます。

〇ハード面が理由の主な場合は

まずは
❶共用部
①建物自体の劣化に伴う雨漏れ等からの漏水(防水、サッシ廻り、換気口等の劣化から雨水が入ってくる場合)
②建物メンテナスによる漏水(例えば共用部の排水口を定期的に掃除しておらず、詰まりによる排水の逆流して階下に漏水被害を及ぼした。)
→こちらはソフト面にちかいかもしれません。
③建物の給排水設備劣化による水漏れ、こちらは更に、給水管と排水管に分かれます。

❷専有部
①水回りの設備劣化にともなう水漏れ(ユニットバス、キッチン、洗面台、洗濯機、の設備劣化による水漏れ)
②専有部の給排水管の劣化にともなう漏水(こちらも給水管<水管、お湯管に分かれます>と排水管に分かれます。)経年的な詰まり(例えば、構造が銅管により、経年的な錆からのつまりなど)も含まれます。

〇ソフト面面が理由の主な場合(主に専有部になりますが)は

①水を出しっぱなしにより、溢れさせた。
②通常の使用と異なる使用をした(例えば浴室の扉を開けながらシャワーと浴びていた)
③異物を排水して、配管を詰まらせて逆流させてしまった。

また、ハード面では、管理運営上の理由ではなく、天災、地震等の事が原因による事故のよる漏水、併せてハード面での排水つまりとソフト面での住まわれている人の使用方法の問題、両方の複合的な事が原因で漏水する事もあります。

これだけ見ても大変だぁと思われるかもしれませんが、漏水事故で大変なのはさらにここからです。

その理由として、まず
・関係者が多い!!
というのも、所有者それぞれが“加害者”、“被害者”になるだけでなく、原因によっては共用部が絡む場合は“理事長、理事会”“管理組合”が責任を取らないといけなくなりますし、当然管理組合を補助、助ける“共用部管理会社”も関係してきますし、また、その原因箇所の復旧工事会社(水回り等)、被害を復旧する会社(内装等の工事)の施工会社、また、漏水となりますと更に保険会社、保険会社が依頼する鑑定人、更にこれが賃貸に貸されていますと居住者(借主)賃貸管理会社等とのやり取りも出てきます。

併せて、
・この漏水事故において、リスクヘッジとして大切なこと、保険の加入状況がまちまち?!
通常はこのような漏水等の被害に対して保険でカバーするのですが、実際は保険の加入状況が所有者によりバラバラ。特に、所有者にてかけてられている保険について、専有部の自室には火災保険に加入されているのですが、階下への被害に関して、個人賠償責任保険や施設賠償責任保険といった特約に入っておらず、実際保険が適用されない、被害を支払えない、不足する場合があります。(なお、基本はマンション管理組合にて、被害者救済の意味合い強く、個人賠償責任保険が入っとられるケースもありますが、)
ここ最近の天災による事故被害の増加に伴う、保険料の過度な値上げにより、マンション管理組合もこの個人賠償責任保険を外す動きや、一部金を支払う免責の付与、その額の増額をする組合が増えてきましたので、今後、個人で責任をもって保険加入負担をする流れではあります。

・被害と保険適用金額の開きによる感情的なしこりが残る?!
保険は適用されるものの、次にトラブルになるのが、被害者の被害にあたり、保険会社との査定金額の開きや、被害者の感情的なしこりがのこる。(自分は悪くないのにいきなり天井等から水が漏れ出し、大切な家財が濡れたりして被害を受けるが、それに対する賠償に開きがある、また、復旧工事など、被害者にもかかわらず漏水により色々な面で私生活に負荷がかかる。)

といった内容もあり、
被害状況により、また被害が大きければ大きいほど、なかなか加害者、被害者、その他関係者、全員が、全員が丸く収まるといった事が少ない案件の為、お金を払わない、工事に協力しない、部屋に入れない、自分は困らないから被害をそのままにする等の解決への障害が起こりがちで、スムーズに行かない、時間が掛かるケースも珍しくありません。
また、その間当事者もお互いがお互いけっこう気持ち的に精神的に神経を使います。
加害者はどれぐらい賠償にかかるのか、保険でどこまでリカバリできるのか?また被害者は被害を受けた物が、被害前の状況に戻るのか?!日常の生活にもどれるのか?そのあたりを気にされるからです。

ついては、これらの問題を解決するにあたり、リフォーム時の水回りの配管の引き直しをおこなったりして予防のメンテナンスをしたり、しっかりと階下のお部屋に対しても補償カバーできる保険の加入を前もって入っている事がトラブル回避につながり、不測の事態にもしっかり備え、安心して生活する事が出来ます。

ちなみに、これらの漏水にあたり、それらの間で、実際に、業務をしているのが多いのは共用部の管理会社であります、とはいえ、これらのトラブルが問題が起こる事から、慣れている管理のスタッフでも、実際、漏水事故が大変で誰もがやりたがらない案件であります。ちなみに賃貸の管理のスタッフも同じような対応をしますので、やりたがらない、しっかりとした対応をする人が少ないのも事実です。
という事で、今回は漏水事故について、簡単ではありますが、その大変さを書かせて頂きましたが、少しでも今日書かせて頂いたことが皆様のお役に立てば幸いでございます。

それでは、また!!

(マンション管理士 橋本 和聡)