橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第四十二歩)

■マンションにおいても、やはりコミュニケーションは大事です。

マンション管理士の橋本です。
今年の夏は暑いですね?!
そして、台風や天候不順による大雨、落雷といった事が多かった点も今年の夏の特徴かもしれません。

この夏、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は、本業メインの賃貸管理、特に現場管理においては、この夏は、ある意味繁忙期にて、エアコンの対応や植栽、動植物、蜂などの虫関係などから天候不順に伴う漏水案件などの対応で慌ただしく過ごしていました。

それと同時に、この時期、何気に起こる案件としては、孤独死案件があります。
実は先日、一人暮らしの高齢の方が室内で亡くなられていました。
そう孤独死は季節の変わり目、急に暑くなったり、寒くなったり(ヒートショック現象など)と急な気候の変化で亡くなられるケースです。また夏は夏で熱中症から。。。という事もあります。
これは賃貸だけでなく、戸建てでも、マンションにおいても、当然同様な事が起こります。

そう、この話は、マンションでよく聞く”2つの老い”の一つ、人の老いの話でもあります。

なお、”マンションでの人の老いの問題” としては、
・マンションの管理組合としての運営面の参加難しくなる。
もありますが、
同時に、今回のような
・孤独死にともなうトラブル
・認知症などのにともなう隣人トラブル等
色々な問題やリスクがあります。

特に後者の老いにともなう問題は、マンションの運営管理面や環境面でも大きな影響を与えます。
その一つとしては、管理費・修繕積立金といったマンション運営管理に欠かせない資金面で起こるリスクがあります。
特に孤独死案件では、亡くなられてから、すぐに発見されればいいのですが、時間が経ったりすると、そこから滞納も始まりますし、また、亡くなられた方の親族の方がしっかり相続され、その後の事をしっかりと引き継いで頂けるのでしたらいいのですが、実際のところ相続放棄をされたり、また、放棄する以前に、だれが相続人なのかもわからないといったことが起こりますと、その間ずっと滞納といったことが起こります。
また、その間に部屋の傷み(建物劣化、異臭、虫の大量発生)も。。。
また、認知症も、高齢の方が増えるにあたり、年々増加し(高齢になればなるほど確率があがります)、夜間の徘徊や急に感情的になって大声を出したりすると、マンションの周りの人も困惑しますし、安心した生活が出来なくなったりします。
特に、マンションは、戸建以上に、周りの人と密接して、同じ建物の中で生活しているので、その影響は大きいです。
せっかくの生活の基盤であり、安住の場所であります自宅で、安心して過ごすことが出来ないのはほんとストレスです。

では、こういった人の老いに対して、マンションとして、管理組合としてどのように取り組むのか?!そのあたりが大事になってきます。

ちなみに話は少し戻りますが、先ほどお話した孤独死のお話、どのようにして分かる、発見されるか、ご存じですか?
病院に顔を出さない、介護等でいるはずなのに部屋から出てこない、仕事に来ない、など関係者から安否確認という流れもありますが、
その他として、実は近隣の方からのお話で安否確認になるケースもあります。
そう、「最近、あの人見なくなったね?!」「最近見かけない、自転車が置きっぱなしで使っていない」「ずっと洗濯物が干したまま、電気がついている」等々からの話です。
そして、そのまま放置されますと、亡くなられたままになりますと、ご遺体も傷みだし、異臭や虫の大量発生ということから、そこから、ようやく近隣の人がその異変に気付き、管理会社や警察消防に連絡があるという流れです。
(その場合、異臭や虫、そして亡くなられたという心理的なダメージは近隣の方にも大きな影響を与えます。)

で、この問題に対して、どのように取り組むかですが、私自身思うのは、やはりコミュニケーションの部分が大事だと思います。
特にマンションは、先ほども言いました通り、戸建て以上に、同じ建物という事もあり、隣人間の距離が短いので、近隣とのコミュニケーションが非常に重要になってきます。
また、管理人さんの存在も大事です。一番現場にいて色々な人と日夜合われていますので、特徴や生活パターンなども把握されている場合があります。
ただ、そうはいっても現状、昔に比べ核家族化がスタンダードになっていますし、多くの家族で住むという事自体が少ないのが現実です。そう、私自身も、すでに実家を離れて30年になっており、親、兄弟ともバラバラで暮らしています。

そのため、逆にマンションにおいては、家族だけでない、コミュニティ、つながりが大事なのではないかと思います。
そう、総会や消防関連の避難訓練等もそうですが、色々なイベントなどのつながりも大事です。(先日のマンションフェアでは<業者の出店において>、管理組合に代わってイベントを企画される会社様もおられ、マンションにおける、コミュニティ、コミュニケーションが見直されているのを感じます。
そう、そういった方々が親密であればあるほど、隣室の異変、普段からお付き合いがあれば先ほどのように、「あれ、最近会っていない」という話にすぐなると思います。
また直接知らなくてもマンション内でコミュニケーションがとれていれば、人づてでも周りのことを把握することもできます。
また、これらの話は、ここ最近、話題になった地震の事、また震災等の際にも有効であり、管理組合においても、有事や普段からの管理運営にあたり、こういった高齢の方やお一人暮らしの方、病気の方など把握できている事、リスト化することはいいと思います。(実際、組合員名簿、居住者名簿が適切に備えられているかも査定基準になっています)

しかしながら、上記の核家族化同様に、ここ最近、色々な詐欺等のトラブルから、個人情報や家族のことをオープンにされることを拒まれる方もおられますし、このリストを最新の状態に維持管理していくこと、アップデートが非常に大変な労力がかかります。(特に投資用の物件ですと、ほとんどが賃貸で、所有者と住まわれている方が実際違う事がほとんどであり、所有者も賃貸管理会社にまかしているので、実際に住まわれている方の詳細まで知られていない方が多く、こういった問題に対して安易に考えられていることが多いです。)

といった事もあり、なかなか組合においては、このリスト化や周りを把握するという事が難しいケースもあるかもしれませんが、少なくとも組合員一人一人が自分以外の、周りのことを気にかけるだけでも、小さな一歩かもしれませんが、この老いの”人の老い”に対して、改善できるのではないかと思います。そこから、管理組合、マンションという大きな輪に広がればと考えております。

最後に、毎回、孤独死案件に関わると、人に死に触れますと、私がいうのもおこがましいのですが、人生の終幕がこういった形でよかったのだろうか、いろいろと考えさせられます。また同時にこのような事故が少しでも防げればと切に願うばかりです。
今回、孤独死案件を対応して感じたことを今回は書かせて頂きました。

それでは、また!!

(マンション管理士 橋本 和聡)