橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第四十三歩)

■一人の迷惑が、周りの人に大きな影響を与えます!

マンション管理士の橋本です。

ようやく、長い長い夏が終わり、秋への移行期に。
ここ数年、猛暑が長くなったことにより、生活様式も変わってきたように思います。
私の周りには、秋の服装がなくなり、いきなり冬の服装に行くんじゃない?!
そんな話もチラホラと。
皆様は如何お感じになられていますでしょうか?

ちなみに、こうも暑い日が続きますと、炎天下でしたら普通の人でも冷静にいられなかったりしますよね?!

今回は、以前にも書かせて頂いたかもしれませんが、周りに迷惑をかける住民のかたについて、直近の対応している案件も交え、お話したいと思います。

実は、最近、漏水事故のトラブルで、対応に苦慮している案件があります。
賃貸のトラブルですが、これも実は皆様が住まわれているマンションでも十分起こる問題でもあります。

というのが、今回、お客様の所有されているマンション一室のお部屋を、賃貸で貸されており、その部屋の管理を、私勤めている会社にておこなっておりますが、上階(直上階ではなくさらに上階より)より水漏れは起こっております。

その原因は、ほぼ上階のお部屋の専有部が原因(おそらく排水関係、浴室付近の劣化等により)で、漏水事故が起こっているのは、共用部の管理会社にて把握できているようですが、その部屋の、専有部の方が漏水調査の協力、修理改善をしてくれないために、継続して階下へ漏水が続きている状況になっています。
その他、細かな点については、あまりここでは書けません(住まわれている方の権利関係も複雑等)が、住まわれている方が、高齢?の方で、現状、自身のお部屋で問題が起こっているわけではない(自室では漏水がない、通常の生活を送れているため)ため、周りに対して迷惑をかけているのを理解できない。
修理しないといけないこと(原因によってはユニットバスの交換等は必要かもしれません)や、しないことで周りの被害が出ており、それに対する責任も理解できておらず、その結果、状況がおさまらない、改善されない状況です。

なお、こんな状態にもかかわらず、当初、管理組合も上下間の専有部同士の問題として、間接的な対応で、直接的にはトラブルへの介入するのを差し控えておられたようですが、結局のところ、その漏水被害が、弊社管理をしている部屋を通り越して、共用部の使用している部屋(共用スペース)まで被害が達したこともあり、また複数のお部屋にお影響を及ぼしていることから区分所有法57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)に基づき、管理組合も本格的に対応に取り組まれ、現在は訴訟に向けた対応をされているようです。
なお、こちらのマンションもですが、訴訟をするにあたり、総会にて、理事長が原告になる事、また弁護士費用の予算組など、承認を得る必要がありかす。
(ちなみに弊社で管理しているお部屋に関しては、現状も、水が定期的に漏れており、水受け等にて凌いでいますが、その賃借人も近日退去予定になっています。)

正直、今回のトラブル、多数の関係者を巻き込んだ案件にて、私自身もあまり経験したことにないようなレベル、内容のため、その対応に苦慮しておりますが、どちらにしても、どのような結論に達したとしても、解決にするまで相当な期間、時間、労力がかかることは間違いないと思われます。

少なくとも弊社の管理物件だけでも、これまでの被害に対する対応した費用や水漏れ被害の実損、また、今回退去になりますので、今後、それに伴う費用や実際に部屋を利用できない期間等の被害等、大きな費用になります、
それが他のお部屋等、複数あるという事、また、今回、共用部を含めマンション全体で訴訟まで至っている事から、トラブル全体での被害は、かなりものという事はご想像を頂けるのではないでしょうか?
更に、改善までに時間が経つと、原因個所を修理をして、漏水をとめて、濡れた被害を保険等で直す?!といった通常の対応だけでは済まない被害(様々な賠償)が出ています。

それがたった一部屋の、一人の人の迷惑行為(協力をしないばかり)のために、マンション全体で大問題になる。

これは、このマンションだけが特別に起こっているわけではありません。
他のマンションでも、ベランダで粗大ごみを大量におかれ避難路をふさぐ人、マンションの共用部(廊下や階段に)に自分の家具、棚などを大量に置かれ、共用部でご飯やタバコなど普通に生活をするといった汚部屋の入居者、室内でゴミをためて漏水を起こしたり、害虫を大量に発生させても気にせず住まれる入居者、また、シャワーをなぜが浴室扉を開けたままでしかできない人等々、私も賃貸を含めて色々な素行の悪い人を見てきましたし、対応もしてきました。
また、先日もマンションの交流会で鳩被害をそのまま放置して近隣が迷惑行為を受けているという話で、困っているマンションの話もありました。

これらの話も、迷惑行為だけでなく一歩間違える今回のように、それ以上のトラブルになります。
そう、ほんと色々な人が世の中におられ、共同住宅であるマンションにそういった素行上問題になるような人が住む可能性はあります。

そういったトラブルに対して如何に備えるか?
こういったトラブルを想定し対応できるように規約の改定をする、(管理組合の権限や訴訟時の弁護士費用の請求等)、保険の加入見直し、そして昨今大事なのは、居住者等の名簿関係の整理です。
こういった素行系の問題のある人は、その人とだけでは解決できないことがあるので、親族やその他の人を巻き込んだ形での対応になる為、事前にそういった名簿等の管理が大切になります。
そして、そういった名簿について大事なのは、その名簿の有効性と継続する仕組み作りになります。
あとは、管理人さんを中心とした普段からのコミュニケーション。何かが起こる前にどういう人なのかの把握やリスクを察知する、日常の変化等々。

とはいえ、こういった問題は、正直解決が困難で、対応に時間がかかる内容であり、また、今後認知症や孤独死案件などにより、さらに複雑化してくるとは思われますので、
こういった問題が起こった時に、管理組合が結束して、方向性を持って行動できるのか?でその改善やスピード感が大きく変わってくると思います。
そう、2つの老いの話のうち、建物の老いもコストやそれを引っ張る管理組合員のメンバー等の高齢化の問題として大きな問題ですが、もう一つの人の老い、メンバー以外の住まわれている人に対するトラブル対応も今後同じように問題化してくると思われ、こちらはある意味、可視化しづらく急に来る問題なので対処が難しいかもしれません。

といったように、今後もマンションなどの共同住宅において、安全、安心、快適に住むために、いろいろな問題がありますが、私自身もそういった問題に対して携わっていきたいと思います。

それでは、また!!

(マンション管理士 橋本 和聡)