橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第四十六歩)
■今を変えないと未来は変わらない?
マンション管理士の橋本です。
年も明け、新たな年から始まりましたね、昨年は皆さんとってどのような年になりましたか?
私は昨年も色々な変化があり、その為か、私自身は忙しい日々を過ごしていました。
変化といえば、昨年、マンション管理でも色々な変化がありました。
特に色々と話題になったのが第三者管理、今回は、この話を私なりの個人的な考えも交えて書かせて頂きたいと思います。
この話は、マンション管理について,マンションの理事長、理事会のメンバー等やこの仕事に関わる方は、もちろん、マンションのお住まいの方もご存知の方も多いかと思いますが、
簡単に説明しますと、今マンションが抱えている二つの老い(建物老朽化や理事などの役員不足)をカバーするための案として、法整備化している内容にあたり、そのうち特に人の老いをカバーするために、マンションの区分所有者である組合員以外のマンション管理に関わる専門家(管理会社も含む)に、管理運営の一部もしくは全部を代わりにしてもらう事、そう、当事者以外の第三者に管理運営を任せる事です。
なお、この管理方式で皆さん勘違いされがちですが、第三者管理は、一つのパターンだけでないことです。
そう、その一つが、皆さんが第三者管理ときいて真っ先に想像される、理事会を廃止して、その代わりに第三者が管理者(理事長の代わり)になり、運営をおこない、その内容に関して、総会で各組合員が決議するという方式です。
確かに、管理運営を第三者に任せるので、色々なプレッシャーや責任をおうこともなく、また、管理運営を専門家に任せられるので安心で、
そして、重要なことなどは、実際、総会で決議するから問題ないだろう?!
と安易に思ってまかせると、少々、危険、リスクがあるように思えます。
特に、ここ最近は管理会社がこの管理者になるケースもあり、そうなりますといくら区別をしたとしても、運営者と施行者が同じになり、客観的な透明性、独立性が明確にならない、そう、自分たちの利益を追求する、組合のためではなく、自分たちの利益ため、自分たちの事を優先するような利益相反の可能性があるからです。
ただ実際は、その他の方式もあり、理事会は残ったまま、理事長や監事を外部の専門家に任せて、自分たちも役員として加わる事で、管理者を管理抑制する方式もあれば、あくまでも理事会のメンバーの一人として専門家が組合員に代わって、第三者の立場で、組合の運営に参画する方式などいくつかのパターンがあります。
人の老い、役員不足を補うために、採用するのであれば、それぞれのマンションの事情に応じて、どの方式にするか?選択をすればいいと考えます。
では、実際にこれらいくつかのパターンがある、第三者管理が本当に必要なの?!検討する必要があるのか、どうかですが、まず今回の管理方式が必要なマンションはどういったないようなのか?です、
先ほどもお話した通り、役員のなり手不足、そして、私の個人的は主観ですが、昨今のマンション管理において、古くなれば古くなるほど、難しい案件を判断し、それをある一定の方向性へ導かないといけない事が増えます、その段階で、専門家以外の所有者だけでは対応が難しいケースが出てくると思われ、そういった際に活用できる方式で必要性があると考えます。
なお、そういった事を考えた際に、まずマンションの形態によって変わってくと思われます。
分譲マンションにおいては、1つ目は、①戸建てのように、生活基盤、自宅として使われているものから、2つ目は②投資用のマンションとして、自分が住むというよりが他の人に貸すことにより収益を上げるために部屋を所有される物件もあり、また、最後の3つ目が③リゾートなど、短期滞在のため、別荘のような用途で、普段そこにいないことが多い物件があり、特に②③は自身で住まわれている場合は少なく、その結果、マンションの運営にあたり、消極的な人、組合活動でも消極的な人が多いため、役員のなり手が少ないため、こういった第三者管理が有効な場合があります。
あと①のパターンでも特に戸数が少なく、役員のなり手が少ないマンションにおいて、は有効な管理方式だと思います。
なお、①のパターンは自宅として使用されており、またお互い管理運営が目の届く場合でしたら、まだ今の管理方式を維持する形でも大丈夫だと思います、個人的には無理に変更する必要もないかと思われます。
ただ、理事会等がしっかりと機能しているのであればいいと思いますが、マンションが古くなると、今後のマンションの管理運営に対して、難しい内容のものがでてきますので、そういった時期が来る前に、将来に向けて検討される、理事会に専門家を入れることは運営面でも大きなメリットになりますので理事会等に専門家を参画させるのはよろしいかとも考えます。
その他、お金を払ってでも、自分たちの時間を有効に使いたい、時間を取られたくない、難しい問題も専門家にすべてお任せしたいといった、資金的に余裕がある場合には、ありかとも思います。
それでは導入にあたり、いい面悪い面を考えないといけないと思います。
まず、いい面、メリットとしては、継続的な人もいれば、何年間に一度回ってくる管理組合の役員。
したい方は別として、義務としておこなわないといけない、管理運営上のほぼボランティアのような時間、労力負担がなくなる事、また、併せて、運営上の責任(各組合員様を代表して運営する事への責任)を取らなくて、運営面で他の住民との意見の相違でトラブルに巻き込まれないでいいのなど、メリットがあります。
また、役員のなり手不足も当然解消され、その代わりに管理運営の専門家が、自分たちのマンションを運営してくれる安心感は、日常生活に安心感をもたらします。
さらに、しっかりとした管理ですと資産価値もあがり、最終的には大きな利益につながります。
ただ、現状もそうですが、何でもかんでも、すべてお任せというのは、私自身、これまでの人生においてよかったと思えることは少なく、 何かしら、自分自身がその中に入って、少なくともチェックする必要はあると思います。
そういった意味で、第三者管理につぃて懸念事項(デメリット)もあります。
まず大事なのが、専門家、専門家と言っていますが、だれがその第三者管理をおこなうかにもよります。
現在、第三者管理においては、マンション管理士、共用部の管理をしているマンション管理会社、弁護士、税理士、建築士等が挙げられます。
なお、実際、管理組合の理事会、理事長のサポート、その代わりをとなりますと、マンション管理の運営に関わる全体的な内容を把握している必要があると思われ、そのためには、個別の部分(管理、メンテナンス、修繕、会計、法律問題)だけではなく、全体網羅できることが望ましいと思います。
そういった意味では、個人的な意見で、自分自身賃貸物件の管理運営を普段からしている立場からは、マンション管理士、共用部の管理会社はその点、あてはまっているかもしれません(ただマンション管理士も士業として管理運営に強い方と修繕関係に強い方、法律関係に強い方等、異なりますのでそのあたりは考える必要があります。)
ただ、共用部等の管理会社に任せるのは上記でも書かせて頂いた通り、いくら、社内やグループで客観的に役割をかけても、明確な可視化された透明性という意味ではリスクが残り、皆さんも同じように懸念されている通りではないでしょうか?
あと、マンション管理士についても、正直、まだまだスキル面でどうか?判断できなかったり、また、その人一人に任せた場合どうなのか?など不安、懸念材料も正直あるかと思います。
なので、第三者管理を検討したいのだけど、どこに相談したらいいのか?頼んだらいいのか?検討必要です。(なお、マンション管理士も優秀な方も多々おられますので、管理士の各団体、また、県、市などの行政機関、管理組合のネットワーク等に聞かれたり、問い合わせされたり、するのもありだと思います)
というのも、こういった方式に切り替える場合は、当然、総会での議決や規約などの変更が必要になってきますので、各組合員の同意を取り次ぐ、合意形成が必要不可欠ですし、それなりの労力や時間が必要になってきます。
そのため、一度方式を切り替えるとなかなか元に戻しづらいところもあり、そうなりますと、うまく管理運営できていない状況が長引いたりするリスクがあります。
そのため、今後どのような管理運営をするかの計画は非常に大事です。
また、あとはコスト面、
今後、インフレ等の値上がりを考えると、いろいろと管理運営にあたり見直しが必要であり、第三者管理をすると、やはり、代わりの第三者へ管理を依頼するとなりますと、それなりのコストがかかることもあり、そのあたりを如何に考えるのか?
そう、費用が掛かっても専門家をいれ、抜本的な見直しをして、将来の管理運営をスムーズにできるように計画立てて行うか、それとも現行のコストをある程度維持しながら、でできるところまでするか?!といった選択になるかと思います。
あと、その他、気になる点では、最近の新築のマンションにおいて、すでに規約から管理まで第三者管理になっているケースもあり、そうなりますと、お任せの楽さはありますが、今後、自分たちの意見がなかなかとおりづらい、通らないといったことになり、お金(管理費、修繕積立金)だけ、負担しているみたいな、何のためにそのマンション、住環境を所有しているの??みたいなことが起こったりしかねませんので、
そのあたりは購入時に、よく確認され、ご自身の判断でご検討いただければと思いますが、個人的にはどうかな?!色々と考えてしまいます。
といった感じで、昨年より法整備も含めてよく話が出るようになった第三者管理は賛否両論で、
まだまだはじまって日も浅いので、現段階でも、心配を探すといろいろな話が出てきますし、今後も問題点も出てくるかと思いますが、
しかしながら、この制度のやり方次第では、マンションの管理運営にとっては大きなメリットがあると思われ、
今後の建物、人の老いを考えた場合、このような対応でないと管理運営が難しくなっていくかと思われます。(また、マンション内の資金力による、サービスの格差によっても変わってくるかもしれません)
ただ、これまでお話した事をふまえ、一つだけ言えるのは、こういった方式や仕組みの変化は、特にマンションの管理運営においては、各管理組合の合意形成もとる必要もある為、準備や情報収集などをふくめるとかなりの時間もかかりますし、労力を要します。
そして、これらの事を、検討も判断せず、現状維持でいきますと、決して今は何も変わらず、数年後、建物や人が老いた段階で、管理運営が機能せず、資金や、役員をやる人もいなくなると、
その時に何かをするといっても、あとの祭り、改善することは難しくなります。
なので、将来、起こるであろう問題や将来より良くするために、話し合い、変える必要があるのであれば、早い段階で、動き、対応、検討する、
そう、””今を変える、変化させないと未来は変わらない””、これだけは言えます。
そう、ほんと、この数年、マンションの管理の環境やマンションの将来(建て替え、取り壊しも含め)が大きく変わる時期でもありますので、私もそうですが、皆様も刻々と変わる社会の変化に、アンテナを立てつつ、変化に対応しながら、マンションの管理運営に携わることをお勧めいたします。
ほんと、変化が大きくその流れが速い、昨今、私も皆様のお役に立てるように頑張りたく思います。
それではまた!
(マンション管理士 橋本 和聡)