ヨーロッパのマンション(第十一歩)
ベルリンにおける建築物の高さ制限
ドイツの首都であるベルリンは東京都と広さがほぼ同じだが、人口は400万人程であるため緑が豊富である。東京のように高層マンションがいたる所に建っているわけでもなく、首都としての雰囲気が感じられない。ドイツが再統一されて首都がボンからベルリンに移設されることが決まった時、日本のように高層マンションが乱立するのかなと思っていたところそうではなかった。ベルリンの都市開発では、建物の高さが規制され、ビルの5階程に相当する“軒樋の高さ”までと制限されていたことが判明した。
結果的に、ベルリンの古い町並みが維持され都市景観が損なわれることはなかった。オフィースビルは乱立したが都市の空洞化を防ぐため、建物の20%を居住空間(マンション)とするよう規制されていた。日本では開発によって都市景観が損なわれ、昔の姿が失われていく地方都市があるが、筆者の故郷も例外ではなかった。
しばらくして、ベルリン東地区(旧東ベルリン)は、都市開発がさかんになり、若者たちが好んで住む活気のある地区となったが、ベルリン西地区は訪れる人々が減少してしまった。その為、壁があった頃はベルリンの中心であった動物園駅の近くにベルリンでは珍しい高層ビルが建てられた(写真参照)。