ヨーロッパのマンション(第九歩)
マンション管理会社と保険会社
最近知人よりマンション管理会社と保険会社に関わるあるエピソードを聞いた。
知人は台所のリノベーションを行うため、古いシステムキッチンを撤去したところ、水漏れの痕跡が確認されたため管理会社に連絡した。管理会社からは水回りは保険対象になるので、保険会社から委託された技術者が検査に行くまで待ってくれとの返事だったそうだ。知人は、技術者がいつ来てもいいように準備していた。それよりもシステムキッチンの組み立てが2週間後である旨、管理会社に伝えていた。その為、早く水漏れ箇所を探し、修理してほしいと伝えた。しかし、待てど暮らせど保険会社からは技術者が派遣されてくる気配がない、知人は管理会社に早くしてくださいと何度も催促した。
そうこうしてるうちにシステムキッチン組立の日が近づいた。水漏れ箇所を調べて、その後台所の床下を乾かさなくてはならず、なかなか先に進まない。
ここまではドイツの作業は遅いな、ですんでいたが、その後4週間たっても一向に進む気配はない。台所組立スケジュールは一度延期にしたが、この調子だと再度延期しなくてはならない。知人はメールや電話で何度も管理会社とやり取りした。最後には堪忍袋の緒が切れて、一体どうなってるんですか、と怒鳴りたい気持ちを抑えて状況を聞いた。管理会社の担当者曰く、保険会社からまだ連絡がないので、“我々の判断”で水漏れ検査とその後の床下の乾燥作業にため二社に依頼しました、と連絡があった。知人は、内心、それをなぜ早く判断しなかったのかと怒りを抑えた。
結局床を乾燥させるため、二週間特別な乾燥機を据え付けて、乾燥の度合いを見ることになった。この会社は乾燥した後の工事も引き受けられるということで、管理会社には見積もりを提出していた。二週間後、床下が乾いたかどうか検査したところ、まだ不十分なのでさらに一週間乾燥させることにした。この時点で、管理会社としては、次の作業について何をすべきかわかっていたはず。一週間後、全て乾燥したので、水栓器への配管部へ断熱材や石膏ボードで閉める作業だけ残った。さて、すぐに工事が始まると思ったところ、管理会社からは工事見積に対して、保険会社からの承諾が得られてないのでまだ施工できないと返事があった。この時点で6週間以上経っており、知人はもう我慢できなくて、独自で知人であるドイツ在住のポーランド人大工に依頼したところ、1日で作業は終了した。
ドイツの契約社会は一体どうなってるんだ、とあきれ顔だった。ちなみに未だに保険会社や管理会社から返事が来ていない。
(独ベルリン 是沢 正明)