分譲マンションの窓・玄関ドア改修工事と補助事業(その1)

分譲マンションの窓・玄関ドア改修工事と補助事業(その1)

YKK AP株式会社 首都圏改装支社 営業推進部 長田 克也

毎日使う窓と玄関ドア、生活空間を作る窓と玄関ドア、窓と玄関ドアを変えることで生活の快適さが大きく変わるってご存知でしたか?
分譲マンションの窓と玄関ドアは共用部分にあたるため、管理組合全体での工事となるケースが大半かと思います。一方で分譲マンションの管理組合は「長期修繕計画」を作成して、それをきちんと実行していくことになります。以前は(今も?)窓改修工事や玄関ドア改修工事がその「長期修繕計画」に含まれていないケースが多い状況でした。「長期修繕計画」では一般的に大規模修繕工事と言われる「塗装、防水」工事が含まれており、更には「給排水」と言った設備工事等も含まれております。窓改修工事や玄関ドア改修工事が「長期修繕計画」に含まれていないということは、その予算が無いということになります。
それでも築40年を超えてくると、経年劣化により具合の悪い窓や玄関ドアが出てきます。2000年初期頃は改修工事というよりは、壊れた窓や玄関ドアを直す修繕が多かったのではないでしょうか。ちょうどその頃から国が窓改修工事や玄関ドア改修工事の「補助金」制度を創設し始めました。当初は「知っている人は知っている」というレベルでしたが、それが変わったのは2010年に創設された「住宅エコポイント制度」です。前年の12月8日に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」において、「エコ住宅の建設」「エコ住宅へのリフォーム」に対して補助を行う(ポイントを発行する)制度が創設されました。当初は予算総額1,000億円という規模でした。
(下記資料:住宅版エコポイント制度の概要 国土交通省ホームページより引用)

これにより国が窓改修工事や玄関ドア改修工事に補助を行うことが報道でも大きく取り上げられました。我々のような窓や玄関ドアのメーカーも分譲マンションの改修工事を行う専門部署を立ち上げ、積極的な営業活動を開始しました。

まもなくそこから15年が経過しますが、国は継続して窓改修工事や玄関ドア改修工事の「補助金」制度を実施しています。その間2020年には「2050年カーボンニュートラル宣言」が行われ、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されています。住宅においては省エネ基準の適合義務付けなどの規制措置強化が行われ、既存ストック住宅においても省エネリフォームの拡大のための対策の充実・強化が行われています。
(下記資料:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 経済産業省ホームページより引用)

そして2022年12月には国土交通省、経済産業省、環境省の3省連携による「住宅省エネ2023キャンペーン」が開始され、「過去最大の予算」の補助事業がスタートしました。(下記資料:住宅の省エネリフォーム支援の強化 国土交通省ホームページより引用)

このキャンペーンは2024年度も「住宅省エネ2024キャンペーン」として、更に予算規模を大きく(総額3,265億円)して現在行われています。各メーカーも「史上最大」「超大型」「最大200万円」という文言で営業活動を強化しています。

私個人の紹介が遅くなりましたが、私はこの2010年の「住宅エコポイント制度」の時に会社から「行け」と言われて、分譲マンションの窓改修工事、玄関ドア改修工事の世界に入りました。それまでも地方都市の県営住宅の既存スチール製窓をアルミ製窓に改修する工事には携わっていましたので、それほど抵抗なくこの世界に入れました。現在までのところ窓改修工事、玄関ドア改修工事の変遷を体験してきているのと同時に、「補助事業」の変遷も見てきております。「変わってきたな」と思うのは、分譲マンション管理組合の方々が、この補助事業についてかなり調べられているなという点です。一方で、もともとこれらの「補助事業」は難解なものが多く、「補助額の算出」などは管理組合が行うのはかなり難しい状況です。更には「補助事業のスケジュール」と「改修工事のスケジュール」を組み合わせることも、なかなか難解です。これら住宅リフォームの「補助事業」のベースにあるものは「戸建て住宅」です。「戸建て住宅」であれば、せいぜい「家族会議」で済む話ですが、「分譲マンション」ではそうはいきません。

【管理組合で検討すべきこと】

  • いくらかかるのか?現状の修繕積立金で賄えるのか?補助金はいくらもらえるのか?
  • 住民は改修工事に賛成なのか?反対派はいないのか?
  • 補助金は絶対にもらえるのか?
  • 工事実施後の効果はどのようなものがあるのか?
  • 他の工事との優先順位付けはどうすれば良いか?

これらを明確にするため、管理組合内の理事会や修繕委員会で議論を行い、最終的には管理組合総会で決議して、ようやく工事スタートになります。ところがすぐに工事ができる訳ではありません。管理組合総会で決議後の工事スケジュールは下記のようなものが基本です。

【総会決議後の改修工事スケジュール】

  • 全戸調査実施日アンケート配布・回収
  • 全戸調査実施
  • 調査結果報告、同時進行で施工図面作成
  • 施工図面承認、製作工場へ投入
  • 工事説明会開催、工事実施日アンケート配布・回収
  • 製品搬入、施工開始
  • 工事完了

分譲マンションの規模が大きくなればなるほど時間はかかります。一方で比較的規模の小さな分譲マンションでも、製品が全てオーダー製作品のため一定の時間はかかります。この上記1~7のスケジュールに更に「補助事業」のスケジュールを加味していく必要があります。

次回からは窓改修工事や玄関ドア改修工事において、【管理組合で検討すべきこと】と【総会決議後の改修工事スケジュール】についてご案内させていただきます。

特別寄稿への問合せ先
会社名:YKK AP株式会社 首都圏改装支社 営業推進部 長田 克也
メールアドレス:k_osada@ykkap.co.jp
電話番号:080-1321-9261

会社の特徴
会社の特徴:みなさまが普段何気なく使われている「窓」「玄関ドア」等の建材を作っているメーカーです。新築工事・改修工事問わず、一戸建て住宅・マンション・オフィスビル・店舗・教育施設等、物件に合った製品のものづくり・提案を行っています。分譲マンションの改修工事においては、専門チームが対応させていただきます。安心してお任せください。
会社のURL:https://www.ykkap.co.jp/