アメリカ便り(第二十九歩)
■全米最大の駐車場トレードショー
しかし今年は本当に暑い夏ですね。ダラスも連日40度以上の日々がまだまだ続いております。そんな中、アパートの室内駐車場で車上荒らしがありまして、私の車も運悪くその被害にあってしまいました。屋根がキャンバス生地の車だったので、カッターナイフで切り刻まれ車内にあった水のペットボトルが盗まれていました。車の中に何かあることが外から見えてしまうのはよくないというアドバイスを受けましたが、水のペットボトル(正確には6本パックのものでしたが)でさえもダメだということで、今後は十分気をつけたいと思います。
ダラスのダウンタウンで、コロナ禍によって大きく変わったことの一つとして、いつも私が言うのはすっかりブラックの人たちの街になってしまったことです。20年前は、全くと言っていいほどブラックの人たちはダウンタウンでは見かけませんでしたが、今ではその逆になり、街の雰囲気も変わりつつあるような感じです。それに結びつけるのは良くないと思いますが、住んでいる建物の中のマナーもだんだんと悪くなって来ていて、犯罪率も年々上昇しているという報告もあるので、今回のような被害を受けると複雑な心境になってしまいます。
駐車場には大きなゲートがあるので、リモートキーがないと侵入できないようになっています。駐車場から建物の中に入るにはいわゆるパニックドアと頑丈そうなドアを別のリモートキーを使って開けて入ることになっているのですが、このドアが最近いつも壊されていて、アパート運営チームに苦情していたのですが、結局このドアを取り外されてしまい、セキュリティには少々不安な点が発生していた矢先の出来事でした。
そうしていたところで、先日、ダラスの隣町のフォートワースにてトレードショーがあり、そこに日本から見学に行きたい10数人のグループがいるので案内して欲しいとの依頼を受けまして、それが駐車場業界のショーということで、私に取ってはタイムリーな内容だったので、早速行ってまいりました。
このショーの主催者は、International Parking & Mobility Institution (IPMI) https://www.parking-mobility.org/ といういわゆる全米の駐車場協会。この業界では世界最大の規模を誇るとのことだそうで、会場には沢山の駐車場関連企業がブースを並べていました。年に一度、全米のどこかの都市でこのショーが開催されているそうですが、今年はフォートワースで開催されたということです。
会場内にある大きな会議室では、様々なプロフェッショナルの方達がプレゼンテーションを行なっていました。会場には、最新型のパーキングメーターや、ゲート周りのインフラに関した新製品など興味津々なものばかり。案内した日本人の方々は全部見たい!ということで一日中会場内を歩き続けて足が棒のようになってしまいました。以下、色々と見聞きした中で面白かったのを少し紹介したいと思います。
昔はコインしか使えないパーキングメーターばかりでしたが、今は携帯のアプリでオンライン精算が主流です。(これを導入したことで、ダラス市の収入はかなり増えたそうです。)そんな状況なのに、あえてコイン専用のパーキングメーター対象の商品があったので、何故それが必要なのか尋ねると、コインを回収する人が回収時に少しポケットマネーを頂いてしまうらしいのでそれを防止することができる商品だということでした。新しいシステムのパーキングメーターを導入できない地域では喜ばれているそうです。
また、探偵のようなサービスをする会社のブースもありました。駐車場出入口のブースに人がいるようなケースでは、知り合いのよしみということで、無料でゲートを開けてしまったり、高額の精算できない人が、駐在者に袖の下を渡して低額にしてもらったりなど、売り上げが伸びない原因が駐車場の管理者にあるケースが多いので、隠しカメラでそれを監視して現場を押さえてやめさせるというサービスをしているそうです。このサービスの利用者が意外に多いとのことでした。
大掛かりなものとしては、空港の駐車場で、各駐車スペースに赤と緑のLEDランプ表示するもの。超音波センサーで車の有無を検知して、その情報をオンラインで公開。以前は、広い駐車場をぐるぐると空いてる場所探しで結局満車で見つからないという最悪の状況にならないように、空港から離れたシャトルバス利用の遠い駐車場に事前予約していましたが、空車情報がオンライン化されたことで利用者が激増し、5000台分の駐車場への導入費用6億円が一年かからずに回収できて、大きな利益を産んでいるというお話も聞けました。
はあ。うちのアパートも最新の駐車場設備にしてもらえれば心配事も減るだろうなと思った次第です。
ということで、こちらは会場出口の写真です。さすがカウボーイ発祥の街フォートワースということで、牛がお見送りしてくださいました。
ではまた来月。(米テキサス 谷 景太)