アメリカ便り(第四十五歩)

■整理整頓

Seiri, Seiton, Seisou, Seiketsu, Shitsuke
いわゆる5Sです。アメリカではファイブエスと呼ばれています。勤務先のダラス工場でも活発に行われていまして、先日、工場内の5Sコンテストで20組程度のチームが応募する中で私のチームは見事優勝することができました。

整理とは、仕事に必要なモノを明確にすること
整頓とは、ムリ・ムダ・ムラのない置き方にすること
清掃とは、整理・整頓を習慣化させること
清潔とは、汚れや異常を目立つようにすること
躾とは、協力し合う組織風土をつくること

20数年前、自動車向け品質の製品を作るために、不良品ゼロを掲げて導入したこの活動。人命に関わる商品のため不良品ゼロにしなくてはいけないという要求に対し、それを実現するための努力として避けては通れない登竜門的な位置付けのものでした。トヨタ発のこの日本的な考え方がアメリカ文化の工場で効果が出るようになるまでには、長い年月がかかったと思います。

躾なんてわかるわけがない。5Sの文化なんて作れる民族ではない。5S活動はアメリカではできない。と言われていました。そんな中、日本からエキスパートを講師として迎え、製造に関わる全社員にこの活動の趣旨を理解して実践できるようになるまでのトレーニングを行うところからスタート。それから数年間、年に一度再度講師たちが来訪する形で定期的そして長期的に指導を受けてきました。

現地のアメリカ人たちは当初自信満々に5S活動の報告をしますが、講師たちにとってはまだまだと言われてしまう状況が続きました。しかし、この5S活動を毎年全社的にコンテストをしたり、トレーニング内容の充実化を進めたりしながらじわじわと5Sの考え方が工場に染み込んで、今では6つ目のSとしてSEFETYを加えて工場の文化の一つになったような印象があります。こうした整理整頓活動によるコストやリソース削減への貢献は今後も高まっていくことと思います。

ところで先日、トランプ氏が激戦区を全て制して、圧勝で47代目のアメリカ大統領に選任されることになりました。早々と組閣人事が進められているようで、連日SNS、オールドメディア共に話題になっています。中でも選挙活動中から積極的にトランプ陣営をサポートしてきたイーロン・マスク氏ですが、彼とアメリカ版ひろゆきと呼ばれている実業家ビベック・ラマスワミ氏と共に、政府の支出の見直し・削減を検討するための政府の組織「政府効率化省(DOGE)」のトップ2として起用することが、トランプ氏から発表されました。ちなみに面白いことにDOGEとはイーロン氏が立ち上げた暗号通貨の名称と重複しています。

この二人が、先日のウォール・ストリートジャーナル誌11月21日付の記事で、今後トランプ政権下のDOGEとして達成していく内容を寄稿しました。

現行のバイデン政権下で人身売買を密行してきた沢山の官僚たちを整理整頓する内容になっているようです。この対象者、すなわち公務員が実に数百万人。信じられないほどの数ですが彼らの中には自分たちのやっている仕事が人身売買に関わっていたことを知らない人たちも大勢いるとのことです。小さな政府を目指すべく今後進めていく少数精鋭のチームで、規制の撤廃、行政職種の縮小、コストの削減に取り組むとのこと。更には、リストラされるであろう数万人の公務員に対して再就職先を紹介する。そしてこれらのアクションを2026年7月 4日までに終了させる予定とのこと。整理整頓は大事ですね!今から楽しみです。

WSJ Opinion Potomac watch:
https://www.wsj.com/podcasts/opinion-potomac-watch/elon-musk-and-vivek-ramaswamy-doge-ambitions/7c2ea46c-a26b-4739-8098-f5d2c0190c0e

ちなみにこの内容について、元東京中日新聞社副主幹の長谷川幸洋氏が彼のYouTube番組で詳しく説明されています。彼の最近の発信内容が実に面白く注目度高いものと思います。こちらも要注目です。

 

 

 

長谷川幸洋YouTube動画:
https://www.youtube.com/live/uv5IWuzidHk?si=xGv2XpupcztwiNRr

最後になりましたが皆様どうぞ良いお年をお迎えくださいませ!
輝かしい2025年でありますように(米テキサス 谷 景太)