アメリカ便り(第7歩)
ダラスの高級コンドミニアム(第7歩)
全米各州の主要都市に高層ビルが立ち並ぶダウンタウン。重なるビル群が作り出すスカイラインを持つ多くの都市の中で、ダラスが2014年のUSA TODAYの読者票で最も美しいと選ばれています。(1)
ダラスのダウンタウンは1950年代にオイルマネーで栄え、その後高層ビルが次々と建ち並美ましたが、80年代後半から90年代初頭の不況によってほぼゴーストタウンになりました。筆者が初めてダラスを訪れたのは93年ですが、当時はまだまだオフィスビルに通うビジネスマンの姿もまばらで、夜になるとホームレスの街になり、安全面と外観面の観点から夜中でも空っぽのオフィスに煌々と灯りが灯されていたのが印象的でした。
その後、2004年に街の復興を目的としたNPO(2)が立ち上がり、96年の人口200人から現在約12000人にまで増加。(3) この街に25年住んでダウンタウンの生まれ変わりを目の当たりにして、発展成功の要因の一つに住居スペースを増やしたことが挙げられると思います。レトロなケーブルがゆっくり走る街並みの中、築100年以上にもなる古い建物をリノベーションしたり、リッツカールトンを誘致してコンドミニアム新築などを行い、公園を増やし外食店や小売店も増え、確実に街の魅力も向上していると言えるでしょう。
そんな中、先日仕事で高級コンドミニアムを訪れる機会を得ました。名称はMuseum Tower。(4) 築10年42階建ての90%以上が既にsold out。プール、ジムはもちろん、常駐のコンシェルジュ1名、車寄せの係が常に2名。こんな所一度は住んでみたいと検索したとろ、現在購入可能な物件は、約67坪で2億5千万(1ドル100円換算)。そして管理組合(Home Owners Associate: HOA)への支払は毎月約22万円(同換算)。ちなみにアメリカでは高級な地域であれば一軒家でもこのHOA支払は義務ですが、これによって建物のみならず周辺の景観維持を行い、不動産の価値が下がらないようになっています。地域によりますが通常のエリアであれば年間10万円程が相場ですが、これだけ立派な共有スペースや共有施設があればそれなりの額ですね。
これは資金としても相当な額になりますが、あるHOA管理会社(6)を参考にすると、彼らの主な役目として、共有施設の管理、HOAの取り立て、資産運営報告、物理的に施設を管理する人や会社を雇う、共有施設への保険、共有施設に対して住民からの修理依頼への対応、必要に応じて銀行から資金を借りる、などがあるようです。この管理会社を誰にするかは住民達の責任となり、不満があれば信頼ある評判の良い会社を探すことになります。そしてどのようにHOA管理会社を変えるのか?をテーマにした記事は沢山あるようです。運営の透明性が重要なポイントになるのはどこも同じですね。
ところで、訪問したお宅は、約337坪の11階全フロア。エレベータが開いてすぐに可愛い犬が迎えてくれました。楕円形の敷地に大理石の床、壁は全てガラス。ブティックのようなクローゼット、全米1のスカイラインの中から眺める景色などなど、宇宙船の中にいるような感覚になりました。
(谷景太)
(1) https://www.10best.com/awards/travel/best-international-skyline/
(2) https://youtu.be/5y1yjHEFUTo
(3) https://downtowndallas.com/wp-content/uploads/2019/04/2019-Residential-Fact-Sheet-FINAL.pdf
(4) https://www.museumtowerdallas.com
(5) https://www.knoxre.com/idx/1918-olive-street-dallas-tx-75201/14664603_spid/
(6) https://www.slatterhoamanagement.com/hoa-vs-property-management/