マンションと法(第三十六歩)
■標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ
前々回の記事において国交省の「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」をご紹介しました。現在、国交省では、このワーキンググループとは別に、標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方について検討を行うことを目的として、「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」が設置されています。
皆様もご存じのとおり、国交省が公表している標準管理規約は、管理組合が、それぞれのマンションの実態に応じて管理規約を制定、変更する際の参考として利用されることが想定されているものです。現に、多くのマンションでは標準管理規約に準拠した内容の管理規約が存在します。
標準管理規約は、法改正やマンションを取り巻く情勢の変化に応じて、その都度見直しがされており、直近では令和3年6月に改正されており、主として、ITを活用した総会や理事会の実施を定めた規定が新設される等しています。
今回の標準管理規約の見直しにおいては、①EV用充電設備の設置推進、②組合員名簿の更新等、③管理規約を変更した際の取扱い、④修繕積立金の変更予定、⑤物流革新への対応、の5項目が検討項目として挙げられており、これらの項目を中心にした見直しが進んでいます。
また、ワーキンググループの配布資料の中では、管理費等の徴収に関して、「収納金が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、管理組合は、理事会の決議により定める弁済の充当の順序に従い、その弁済を充当することができる」という定めの新設が予定されているようです。管理費の滞納が生じた場合において、滞納金額の一部だけ入金があった場合にどのように処理すべきかという問題は、現場において判断に迷うことも多かったと思いますので、今後の滞納管理費の徴収方法の在り方にも影響を与える可能性があると考えています。
令和6年3月26日に開催予定の第6回会議において、標準管理規約の見直しについての最終案が提示されるということですので、その内容にも注視したいと考えています。
なお、「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」においては、その名称のとおり、標準管理規約の見直しに加えて、管理計画認定制度の在り方についても議論されています。配布資料によると、令和4年4月にスタートした管理計画認定制度における認定マンションの実績は令和6年1月末時点で424件となっているということです。この数字を多いと見るのか、それとも少ないと見るのか、また、今後の管理計画認定制度はどのように方向に向かっていくのかという点について、資料を分析してみたいと思います。
(弁護士 豊田 秀一)