マンションと法(第8歩)

第8歩【マンションと法】

管理費等の滞納問題ですが、管理組合の皆様の関心は高く、私がマンション問題に関する講演を実施する際に取り扱うことも多いテーマです。今回は、管理費等の滞納問題の総論を見ていきたいと思います。

私が管理費等の滞納問題に関して講演を行う場合には、マンション標準管理規約のコメントを必ずお伝えしています。すなわち、標準管理規約60条関係のコメントにおいては、「管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。」と指摘されています。ここでは、管理費等の確実な徴収が、マンションの適正な管理を行う上での「根幹的な事項」であるとともに、「極めて重要な事項」であり、管理組合(理事長)の「最も重要な職務の一つ」であると指摘されています。その上で上記コメントでは、管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説まで掲げています。

マンションという多数の居住者が共同生活を営む場において、その費用負担を共同して行う際の財源が管理費等になるということを考えると、上記コメントが指摘する内容は当然のことといえます。しかし、皆様に再度認識していただきたいことは、この当然のことについて、上記コメントが、「根幹的な事項」、「極めて重要」、「最も重要な職務の一つ」であると、これでもかというくらいに強調しているという点です。

このような観点から考えると、前回までの投稿でご説明を差し上げてきた「マンション管理計画認定制度の認定基準等」においても、その基準の一つとして、「管理組合の経理」が掲げられている理由もご納得いただけるのではないかと考えています。

とはいえ、管理費等の徴収という当たり前のことではありますが、管理組合が、管理費等の滞納問題を生じさせず、その確実な徴収を図ることは容易なことではありません。

管理組合が上記コメントの記載の意味を正確に理解し、その最も重要な職務の一つを完遂するためには、管理費等の滞納問題に関係する法的知識を習得しておく必要があります。

次回以降は、管理費等の滞納問題の各論として、より具体的な取組内容について見ていきたいと思います。