マンション関係判例集(第十二歩)

■名誉棄損訴訟

17.■理事による区分所有者の弁護士に損害倍書訴訟 東京地判 平28年7月27日
概要
①区分所有者で弁護士でもある被告Yが、原告管理組合の理事である原告X1が背任行為や横領行為等を行ったとする文書を組合員等に送付しX1の名誉を毀損したとして、また、原告管理組合がYの行為により業務妨害されたとして、損害賠償請求
②原告らの主張がほぼ認められ、被告Yから原告X1に対する不法行為に基づく損害賠償請求(第2事件)は棄却された

16.■所有会社による監事の管理会社に対する名誉棄損訴訟 東京地判 平28年4月28日
概要
①原告区分所有者(不動産会社)が理事長を務める管理組合の組合員に充てて、区分所有者で監事である管理会社が送付した文書により名誉毀損されたと不法行為に基づく損害賠償請求(300万円)をした
②一部(30万円)認容された

15.■理事会ニュースで名誉棄損訴訟 横浜地裁小田原支判 平28年3月24日
概要
①団地管理組合の理事長を務めていたXが、管理組合が配布した理事会ニュース(Xが理事長であると騙つて、架空の修繕工事を計画し、業者から不明朗な大金(500万円)を受け取った)の記事により名誉を毀損されたとして、不法行為に基づく損害賠償(200万円)を求めた
②一部(損害金20万円と遅延損害金の支払い)認容された
③→H28.12.15東京高判で逆転(名誉を棄損しない)し、請求を棄却した

14.■元理事長と役員との名誉棄損訴訟 東京地判 平28年2月23日
概要
①元理事長を務めた区分所有者が、管理組合の役員等に対し、理事会で原告の社会的評価の低下を招く議案を総会に上程することを決め可決させたことは、名誉毀損の共同不法行為に当たるとして損害賠償を請求した
②過去に原告が起こしたトラブル(訴訟件数も50件を超える)も考慮し、棄却された

13.■理事会議事録は掲示板張り出しと名誉棄損訴訟原審破棄 東京高判 平28年4月28日
概要
①マンションの各階掲示板に張り出された理事会議事録等の記載箇所(一住民が理事に脅迫的言辞を行った)で名誉を毀損されたとして、区分所有者が管理組合に対し慰謝料等を求めた
②名誉毀損に該当するとして、請求を棄却した原審のH26.12.10横浜地判を逆転した
(慰謝料は減額し謝罪文掲示は認めず)

12.■理事間での名誉棄損訴訟 東京地判 平28年2月16日
概要
①本訴事件は、元理事が同じ時期に役員を務めた被告が種々の嫌がらせをして人格権を侵害したと主張して損害賠償を請求した事案で、請求を棄却された
②反訴事件は、被告が元理事がマンションの全世帯に被告を誹謗中傷する文書を配布して、被告の名誉を毀損したとして損害賠償訴訟
③一部認容された

11.■副理事長による空調機入れ替えをめぐる訴訟 東京地判 平27年6月24日
概要
①原告(元副理事長)が責務に反して必要のない空調機の入替えを行い損害を与えたとして、被告(管理組合と理事長)が、責任を問う決議や広報を行った(名誉毀損)ことに対する損害賠償請求等(本訴)と、被告が、原告の債務不履行責任に基づく修理費請求(反訴)
②双方の請求をいずれも棄却した

10.■元理事長が監事等の総会理事会発言に名誉棄損訴訟 東京地判平27年10月14日
概要
①理事長経験者である原告が総会や理事会等における管理会社の従業員や元監事や元会計担当役員等の言動により精神的苦痛を受けたとして、名誉毀損賠償訴訟
②該言動がマンションの管理や組合の運営を巡る議論を交わす過程で生じたもので、原告の人格的な利益を損なう性質を帯びたものではないとして棄却された

9.■副理事長による会計役員に対する名誉棄損訴訟 東京地判 平27年8月26日
概要
①管理組合の副理事長であった控訴人が、会計担当役員であった被控訴人に対し、総会や理事会等において名誉毀損や嫌がらせを繰り返し受けたとして、慰謝料を含む損害賠償請求等をした
②棄却された

8.■代表理事に対する名誉棄損訴訟 東京地判 平27年12月3日
概要
①区分所有者が、被告(補助参加人である管理組合の元代表理事)にマンションの区分所有者に対し原告を誹謗中傷する旨の文言を含む報告書を送付したことにより、名誉毀損されたとして損害賠償等を請求した
②免責事由があったとして、原告の請求を棄却した

7.■理事会議事録の張り出しと名誉棄損訴訟 横浜地判 平26年12月10日
概要
①マンションの各階掲示板に張り出された理事会議事録等の記載箇所で名誉を毀損されたとして、区分所有者(原告)が管理組合(被告)に対し慰謝料等請求
②請求を棄却した→控訴審(東京高判 H28年4月28日で逆転

6.■理事会議事録掲示で名誉毀損訴訟 東京地判 平27年9月24日
概要
①区分所有者が、管理組合の理事であった被告らの理事会での発言や文書の掲示により、名誉を毀損されたとして、損害賠償と謝罪文の掲示を求めた
②被告らの真実性の抗弁を認めいずれも棄却された

5.■新旧理事の対立 平27年6月24日  東京地判
概要
①原告元副理事長が必要のない空調機の入替えを行い損害を与えたとして被告の管理組合と理事長が責任を問う決議や広報を行った(名誉棄損)ことに対する損害賠償請求等(本訴)と、
②被告の管理組合と理事長が原告の債務不履行責任に基づく修理費請求(反訴)
③双方の請求をいずれも棄却した

4.■理事の管理会社運営方法非難ビラ配布は名誉毀に当たらず 平7年11月20日東京地判
概要
①管理会社の運営方法を非難するビラを配布した元理事に名誉毀損訴訟
②真実と信ずるにつき相当の理由があり、名誉棄損に当たらない

3.■管理会社が何もやってくれないとの総会議案書配布 平15年2月19日広島高判
概要
①管理会社の受託業務遂行について不信感を募らせた理事長が、要求しても何一つやってくれない等と記した総会議案書を配布等した行為
②管理会社の名誉を毀損する不法行為に当たらない

2.■役員選出を巡る名誉毀損訴訟 平26年1月28日 東京地判
概要
①区分所有者が管理組合の理事会の席上他の出席者から暴行を受けた刑事事件の当事者であることを理由に、輪番制で運用されていた次期役員候補から外すことが承認され、その内容を記載した議事録が居住者に回覧されたのは名誉毀損と損害賠償や謝罪文の掲示等を請求訴訟
②棄却された

1.■役員誹謗中傷行為は共同の利益に反する行為」に当たる 最三小判平24年1月17日
概要
①管理組合役員らを誹謗中傷する内容の文書配布や工事業者の業務妨害等の行為は「共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある