マンション関係判例集(第二十三歩)
騒音訴訟 //////////////////
8.■奇声、騒音占有者(区分所有者の長男)の行為で競売請求 平17年9月13日 東京地判
概要
①奇声、騒音等を行った占有者(区分所有者の長男)の行為が、共同の利益に反し他の方法では解決が困難である
②引渡請求(区分法60条)と同時に競売請求(同法59条)も認容した
7.■階上子供跳んだりする騒音(騒音計で50~65dB程度 平19年10月3日 東京地判
概要
①階上の子供が廊下を跳んだり跳ねたりする騒音(騒音計で50~65dB程度の測定)
②受忍すべき限度を超えるとして損害賠償請求(慰謝料及び弁護士費用)を認容した
6.■隣のマンション所有賃貸人の賃借人の騒音責任訴訟 東京地判 平28年3月29日
概要
①区分所有者が、隣室の区分所有者の室の賃借人Bとその家族が著しい騒音を発生させたにも拘らず、区分所有者がBに対し速やかに建物明渡請求訴訟を提起すべき義務に違反したとして、損害賠償請求した
②棄却された
5.■上階の騒音差し止め請求 東京地判 平27年12月15日
概要
①212号室を所有している原告が、上階の312号室を賃借している被告に対し、被告が受忍限度を超えて原告の人格権を侵害する騒音を生じさせているとして、差止めと損害賠償等を請求した
②原告提出の騒音解析報告書には疑問があるとして棄却された
4.■上階賃借人の騒音差し止め請求訴訟 東京地判 平27年11月18日
概要
①1階の賃借人が、上階の賃借人(夫婦と子供2人)が 1)激しい騒音を起こす 2)盗撮カメラを設置する 3)駐車場で幅寄せする 4)ベランダから汚水を流す等の不法行為を行ったとして損害賠償や騒音の差止め請求
②いずれも受忍限度内のもので、不法行為を構成するものではないとして、棄却
3.■騒音差止等請求事件 東京地判 平26年11月5日
概要
①占有者(区分所有者の子供)による騒音(壁や床を強く叩くような音や大音量の音楽)の迷惑行為に対する区分法57条による管理組合(原告)からの差止請求を認容
2.■ロック歌手歌声騒音禁止訴訟 平26年3月25日 東京地判
概要
①階下(7F)に居住する音楽活動家(ロックミュージシャン)の練習等から生じる騒音により、8Fに居住する夫婦が精神的苦痛等を受けたとして騒音の差止や損害賠償を請求した
②深夜(23時~6時)の歌声(年に数回→慰謝料認容)以外は、受忍限度を超えないとして不法行為責任を棄却した
1.■1階店舗のカラオケ深夜営業使用禁止訴訟 平4年1月30日 東京地決
概要
①1階店舗部分でのカラオケスタジオの深夜営業に対する使用禁止訴訟
②受忍限度を超えた共同利益背反行為であるとして、一定時間帯(0時~4時)の使用禁止(仮処分命令)を認容した
騒音訴訟 リフォーム関係 //////////////////
5.■隣部屋のリフォーム騒音と妊婦被害による工事中止決議 東京高判平26年10月1日
概要
①隣接する部屋のリフォーム工事の振動・騒音で妊婦に被害が生じる懸念があったことから、管理規約所定の理事会の招集手続を経ていない決議(工事中止を求める)を行ったことは
②緊急性が高いことから相当性を有すると判断し損害賠償請求を棄却した原審維持
4.■フローリング工事で騒音被害が4倍は不法行為 平8年7月30日 東京地裁八王子支判
概要
①フローリング床にしたため騒音被害が従前の4倍になったことは受忍限度を超え不法行為を構成するとして損害賠償責任を認めた
3.■理事会決議による騒音発生リフォーム工事中止 平26年10月1日 東京高判
概要
①隣接する部屋のリフォーム工事の振動・騒音で妊婦に被害が生じる懸念があったことから、管理規約所定の理事会の招集手続を経ていない決議(工事中止を求める)を行った
②緊急性が高いことから相当性を有すると判断した
2.■リフォームが原因での騒音被害訴訟 東京地判 平28年3月28日
概要
①室内リフォーム済中古マンションを購入した買主(個人)が、入居前にリフォーム工事を実施した売主(宅建業者)に対し、工事によって浴室とトイレの位置を入れ替えたことで浴室から発生する音が、隣室住人に騒音被害を生じさせたとして、浴室の原状回復工事費用等の支払を求めた
②隣人への騒音被害は、社会生活上の受忍限度を超えているとまではいえないと判断され、買主の請求が棄却された
1.■フローリング改築による騒音訴訟 平3年11月12日東京地判
概要
①床をフローリングにしたために生じた階上からの騒音(子供の飛び跳ね等)訴訟
②受忍限度内であり、床を畳敷・絨毯に変更することを求めることはできない
騒音訴訟 その他 //////////////////
3.■理事長によるピアノ音に関する勧告無効確認訴訟 東京地判 平28年1月26日
概要
①管理組合の理事長が、区分所有者にした「ピアノ音に関し、現在の取り組み以上に配慮するよう勧告します。」との勧告が、管理規約に違反するものであり、また、勧告に関する理事会等の議事録の写しを配布したことで原告の品性、名声、信用が毀損されたと主張して、原告が勧告の無効確認や損害賠償等を請求した
②棄却された
③→H29.5.30東京高判で逆転(一部変更)
2.■専有部分内の共用排水管から音が発生は受忍限度内 東京地判 平27年3月11日
概要
①専有部分内の共用排水管から音が発生したにもかかわらず管理組合(被告)が補修工事を行わなかったため資産価値が低下したとして、元区分所有者(原告)が損害賠償請求した
②排水音は受忍限度内であり不法行為は成立しないとして棄却した
1.■首都高換気所低周波音健康被害訴訟 東京地判 平27年10月9日
概要
①原告(夫婦)が、自宅としていたマンション近くの首都高速道路の換気所から発生する低周波音によって健康被害を被ったとして、首都高速道路に対し損害賠償金の支払いを請求した
②因果関係が認められないとして棄却された ※控訴棄却(H28.6.1東京高判)
(山形 民男)