マンション関係裁判例集(第二十五歩)

水漏れ訴訟 管理組合に対する訴訟///////////

 9.■賃借人による屋上からの水漏れ賠償訴訟 東京地判 平28年5月31日
概要
①1001号室を区分所有者から賃借している原告会社が、大雪時に屋上のクーリングタワー配管貫通部の防水切れが原因となって、自室が水浸しとなる事故が発生したとして、管理組合(被告)に対し工作物責任に基づき約952万円を請求した
②約86万円につき認め、被告管理組合から貸し付けた550万円との差額(464万円)の返還を命じた

8.■スラブクラックで管理組合に対し修繕と漏水調査訴訟 東京地判 平28年2月24日
概要
①区分所有者が、管理組合に対し、浴室、洗面所、トイレ、玄関の天井上及びその上階床下にあるスラブにクラックが生じて漏水事故が発生している等として修繕と漏水調査を求めた
②必要性が認められないとして却下された

7.■排水管枝管は共用部分で階上者の漏水損害賠償責任否定 平12年3月21日最三小判
概要
①床下スラブと階下天井板との間の空間に設置された階上者専用の排水管の枝管漏水について、階上者の損害賠償訴訟
②「専有部分に属しない建物の附属物」で共用部分にあたり、同排水管からの漏水について、階上者の損害賠償責任を否定した(上告棄却)

6.■床とスラブとの間の空間部分は専有部分 平12年12月27日  福岡高
概要
①床とスラブとの間の空間部分は専有部分であり、床下配水管に基づく漏水は管理組合の責任ではない
②しかし、屋上排水ドレーンのごみ詰まりやクラックからの雨水侵入による漏水事故では、原審(H11.8.23福岡地判)を変更して管理組合の管理責任(工作物責任)を認めた

5.■受水槽破損による浸水の管理組合工作物責任訴訟 東京地判 平27年3月25日
概要
①受水槽に設置されたボールタップ(水量調節器具)の破損で専有部分が浸水した
②管理組合法人の工作物責任を認め、競売で損害賠償請求権の譲渡を受けた原告の賠償金支払い(約506万円)を認容した

4.■駐車上の積雪による上階からの漏水賠償訴訟 平26年6月27日  東京地判
概要
①駐車場での積雪による上階からの漏水事故賠償請求訴訟
②駐車場の管理に関する注意義務違反が認められるものの、賠償すべき損害が生じたとは認められないとし、工作物責任を否定した

3.■賃借人による雨水浸入瑕疵訴訟 平26年3月20日 東京地判
概要
①Y社からマンションの地下1階に位置する区分所有建物を借用し、顧客にレンタル収納ボックスを利用させていた原告Xが、Y社、マンション管理組合、管理会社に対し、止水板及び天井ピットの設置または保存について安全性を欠いた瑕疵があったために、雨水が建物内に浸入する事故が発生したとして損害賠償等を請求
②瑕疵該当性や注意義務違反が否定された

2.■水漏れ被害訴訟 平26年8月8日 東京地判
概要
①共用部分の管理不備によって室内に水漏れによる被害が生じたとして、区分所有者が債務不履行・不法行為に基づく損害賠償を管理組合に請求
②棄却された

1.■上階の水漏れと管理組合の責任 平27年3月17日  東京地判
概要
①902号室の水漏れは、実験の結果1002号室(上階)の浴室防水層の損傷に起因するものと認定し、同室所有者の工作物責任を認容したが管理組合の責任は否定した

 

水漏れ訴訟 管理会社に対する訴訟///////////

1.■管理会社パッキン劣化による水漏れ事故責任訴訟 平5年1月28日 東京地判
概要
①管理会社は、適切に事務の管理を行っており、パッキンの劣化による水漏れ事故の賠償責任を負わない(共用部分でなく、管理業務の範囲外である)

 

水漏れ訴訟 住民に対する訴訟///////////

5.■浴室リフォームで下階漏水のため管理組合からの訴訟 東京地判 平28年6月30日
概要
①管理組合が、410号室の浴室のリフォーム工事によりマンションの床(ALCパネル)が削り取られ下階への漏水が発生した等、「建物の保存に有害な行為」をしたとして、区分所有者や訴訟承継人(被告ら)に対し、結果の除去工事や調査費用・弁護士費用等の請求を行った
②管理組合の請求を認容した

4.■上階トイレ水あふれで下階の損害賠償請求金額 東京地判 平28年2月17日
概要
①上階の区分所有者がユニットバスの排水口の詰まりを解消させようとしてトイレの便器から水を溢れさせて下階の玄関ホール等に漏水させ損害賠償請求した
②一審→差戻し前の控訴審→上告審→差し戻し後の控訴審と継続した控訴審で、損害賠償を92,407円と認定した一審の判決を変更し、91,120円として認容した

3.■修繕時の高圧水洗浄で室内に水を進入したと賠償訴訟 東京地判 平27年8月28日
概要
①区分所有者が修繕工事を行った会社と従業員損に対し、高圧による水洗浄をした際に室内に水を進入させたなどと主張して損害賠償請求をした
②いずれも棄却された

2.■上階に起因する水漏れ賠償責任 東京地判 平27年3月17日
概要
①902号室の水漏れは、実験の結果1002号室(上階)の浴室防水層の損傷に起因するものと認定し、同室所有者の工作物責任(損害金約371万円+弁護士費用10%)を認容したが、
②管理組合の責任は否定した

1.■上階の漏水事故と所有者の移転後の責任 東京地判 平27年4月28日
概要
①4階部分の一室(所有者がY1→Y2→Y3と移転)からの漏水事故により損害を被った階下の所有者が損害賠償訴訟
②各人の民法717条(工作物責任)の責任を負うことを認めた(719条1項の共同不法行為責任については否定)が、占有者等には同条を適用する余地はないとした

以上