マンション関係裁判例集(第三十六歩)

マンション購入と瑕疵担保訴訟 耐震性等///////////////////

13.■設計施工会社の耐震基準不足と漏水被害の訴訟 東京地判 平28年4月28日
概要
①原告がF社等に設計・施工を依頼して建設・分譲したマンションにつき、構造耐力が法令基準に達しておらず、また、漏水被害が発生したとして、F社から営業を譲り受けた被告に対し、損害賠償請求等した
②一部を認容した

12.■耐震改修工事費用相当額の損害賠償請求 東京地判 平28年5月24日
概要
①マンションの一室を購入した原告が、売主や仲介業者等(被告ら)に対し、耐震性に問題があるとの診断があったにも拘らず説明義務違反があったとして、耐震改修工事費用相当額の損害賠償を請求した
②購入時に、工事費を負担する可能性があることを認識できたとして棄却された

11.■マンション鉄筋コア抜きによる瑕疵補修工事後の損賠訴訟 東京地判平27年9月3日
概要
①区分所有者9名が、購入したマンションが鉄筋の損傷を伴う123個のコア抜きがされている瑕疵を有することが判明したことから行った補修工事終了後も、建物価値が減少したとして、分譲会社と建築会社に対し損害賠償請求した
②瑕疵の補修工事に加え外壁タイル補修等のバージョンアップ工事(新たな価値の付加)も被告らの費用負担で行ったことを考慮して、いずれも棄却した

10.■震災液状化による建物傾斜瑕疵担保責任訴訟 東京地判 平27年12月15日
概要
①集合分譲住宅の住人らが、東日本大震災で発生した液状化現象により、分譲建物が不同沈下により傾斜する被害などを受けたことについて、不動産業者に対し、瑕疵担保責任等に基づく損害賠償等を求めた
②分譲当時、液状化を予測することは困難だったとして、瑕疵担保責任等を否定した原審(H26.10.8東京地判)
③その控訴審でも地盤改良義務があったとは認められないとして、住民らの控訴が棄却された

9.■震災による液化現象による賠償訴訟 東京地判 平26.10.8
概要
①S56年頃販売された土地・建物に、東日本大震災で液状化現象が発生し、約半数の住宅が損害を被ったとして開発業者を提訴(集団訴訟で各区分所有者が費用負担)
②分譲当時、液状化を予測することは困難だったとして、瑕疵担保責任等を否定した
※控訴審のH27.12.15東京高判で棄却された

8.■マンションコンクリート圧縮強度設計基準訴訟 仙台地判  平27年3月30日 
概要
①建築したマンションのコンクリートの設計圧縮強度が設計基準強度を下回り、強度不足は基本的安全性を損なう瑕疵に当たる
②請負人等に対する建て替え費用等(約5.2億円)の支払いを命じた(請求額:約5.4億円)

7.■建築マンション耐震強度不足訴訟 平26年4月22日 大阪高判
概要
①マンションの建築主が、設計工事監理者(Y)、設計担当者(a)、下請け(b)、確認検査実施者(c)が耐震強度を確保していないマンションを建築したとして、損害金の連帯支払を求めた。
②cに対する請求を棄却したため控訴した
③控訴審は請求を一部認容した

6.■貸しビル耐震工事による飲食店退去賠償訴訟 東京地判 平26年1月29日 
概要
①事業用貸ビルの耐震補強工事により営業(飲食店)が困難として退去した借主の、貸主に対する損害賠償請求
②否認された

5.■耐震強度不足問題 東京高判 平26年5月15日 
概要
①分譲マンションの耐震強度不足が発覚し、区分所有者から全戸買取を余儀なくされた売主が、建築確認をした業者や静岡市に損害賠償を求めた控訴審
②1審判決(H24.12.7静岡地判)を変更し、9.6億円の支払いを命じた
③→H27.10.27最三小決は、棄却して上告を不受理

4.■購入建物の傾斜をめぐる訴訟 東京地判 平27年4月10日 
概要
①購入建物の傾斜は建物を建築した際、敷地の埋戻しを適切に行わなかったためであるとして、買主が、建築業者に対して不法行為による損害賠償を、また、売主に対して瑕疵担保責任、告知義務違反を理由とした損害賠償を請求した
②買主の建築業者への請求を一部減額のうえ認容された

3.■請負人に対する瑕疵担保責任訴訟 名古屋高裁金沢支判 平27年5月13日
概要
①設計図書に記載された方法と異なる施工(仕口(柱材と梁材が接合する部分)に内ダイヤフラムの施工に代えてリブプレートを溶接)がされていることが瑕疵に該当しない
②設計図書記載の寸法と実際に使用された鋼材の寸法に誤差がある(板厚不足)ことが瑕疵に該当しないとして、
③注文者の請負人に対する瑕疵担保責任等に基づく損害賠償請求等を棄却した

2.■別府マンション事件 瑕疵ある建築物の賠償責任 最二小判 平19年7月6日
概要
①設計者等の注意義務違反により建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、これで居住者等の生命、身体又は財産が侵害される場合は、不法行為による賠償責任を負う

1.■護岸付近で発生した土地陥没事故訴訟 横浜地判 平28年4月27日
概要
①マンションの北西を流れる川の護岸(所有権が区分所有者にあるとの前提)の付近で発生した土地陥没事故で建物敷地としての基本的安全性を損なう瑕疵があったとして、マンションの管理者が区分所有者らのために行った、分譲会社、設計工事管理会社、工事の施工会社及び川を管理する市に対する損害賠償請求、瑕疵担保責任請求等
②いずれも棄却(一部却下)された
③→控訴審(H28.9.28東京高判)も支持し棄却した

以上