マンション関係裁判例集(第四十八歩)

■賃貸借関係

6.■賃借人による修繕請求 平26年4月22日  東京地判
概要
①賃借人から賃貸人に対する建物の不具合箇所の修繕請求
②必要であると認められず、棄却された

5.■賃貸目的購入での瑕疵による損害賠償訴訟 平26年4月25日  東京地判
概要
①宅建業者から賃貸目的で建物(マンションの1・2階部分)を購入した買主が、同建物の瑕疵又は売主の不完全履行により賃貸ができないとして、売主に対して、建物工事に要した費用及び建物の月額賃料相当割合の逸失利益の支払い訴訟
②事案で、建物には隠れた瑕疵があり、売主は建物を瑕疵のない状態で引き渡す債務を負っていたにもかかわらずその履行が不完全であったとして、買主の請求の一部(建物工事に要した費用)が認容された(※賃料相当の逸失利益は認められず)

4.■サブリース契約解除訴訟  平26年5月29日 東京地判
概要
①賃借人が入居する区分建物に関して締結されたサブリース契約は、賃貸借契約(借地借家法適用)ではなく委任契約であり、賃貸人は民法651条1項(委任の契約を解除できる)

3.■保証会社による代理弁済があっても賃貸借契約は解除可能 平26年6月26日  最判
概要
①保証会社による代理弁済がなされているから賃貸借契約の解除できないと訴訟
②賃料等の不払いの事実は消えず、賃貸借契約の債務不履行有無を判断するに際し、保証会社の代位弁済の事実を考慮することは相当でないと賃料不払いに基づく賃貸借契約の解除を認容した(上告棄却)

2.■賃貸借建物明渡請求事件平26年7月30日 東京地判
概要
①賃貸人(原告)が、賃借人(被告)に対し、主位的に、賃貸借契約の終了に基づき建物の明渡しと明渡しまでの賃料相当損害金を、また、予備的に、増額賃料の支払と未払賃料の支払を求めた訴訟
②被告には信頼関係を破壊する行為があったとは認められず、更新拒絶に正当事由は認められないとして棄却した

1.■ライブハウス騒音被害を理由に賃料一部不払い訴訟 平26年9月2日  東京地判
概要
①地下1階に入居したライブハウスからの騒音・振動被害を理由に、賃料の一部しか支払わない建物賃借人に対する契約解除及び建物明渡請求等
②認められた

■対行政関係訴訟

4.■固定資産価格決定訴訟 平26年.3月27日  東京高判
概要
①団地の敷地にかかわる固定資産税登録価格決定方法が適正でないとして審査決定の取り消し訴訟を認めた

3.■建築確認取り消し国家賠償訴訟 平26年2月4日 東京地判
概要
①H21.1.4東京高判で建築確認が取り消された後、新宿区と都に対し、国家賠償請求訴訟を提起した
②棄却された

2.■東日本大震災一部損壊への見直し取消訴訟 平26年8月6日  仙台高判
概要
①東日本大震災の被害判定を一方的な再調査で「大規模半壊」から「一部損壊」に見直され、固定資産税等の免除を受けられなくなったのは違法と行政処分の取り消しを訴訟
②提訴前に前置すべき審査請求をしていないなどとして却下した仙台地判を支持

1.■契約合意解除による所有権復帰不動産取得税 平26年8月26日  東京地判
概要
①区分所有建物の所有権は、本件売買契約の合意解除によって取得したものであり契約の合意解除による所有権の復帰は地方税法にいう不動産の取得に該当するか
②不動産取得税賦課決定処分を認容した

■その他

3.■共用部分での自殺に対する連帯保証人への損害賠償平26年5月13日  東京地判
概要
①連帯保証人に対する、ワンルームマンションの共用部分での自殺による損害賠償請求
②減額の上で認容された

2.■準備書面直送費用は訴訟費用に当たらず 平26年4月7日 東京高決
概要
①準備書面の直送費用を訴訟費用に含めなかった訴訟費用額確定処分について原審 (H26.2.21東京地決)の異議申立却下決定に対し抗告
②控訴審も、費用は訴訟費用に当たらないとした

1.■担保不動産独立性なしで競売申立取り消し 平26年8月7日 神戸地裁豊岡支判
概要
①抵当権設定時には対象建物が建物としての独立性を有していなかったことが、担保不動産競売手続中に判明した場合
②民事執行法53条を類推適用して対象建物に対する競売手続を取り消した
以上