マンションの安全と安心(第九歩)
マンションの佇まいと防犯
1994年から2001年まで米国のニューヨーク市長を務めたルドルフ・ジュリアーニ氏が「割れ窓理論」に基づいて「ゼロ・トレランス(不寛容)政策」を徹底し、街中の落書き、未成年者の喫煙、無賃乗車、万引き、花火、爆竹、騒音、違法駐車など軽犯罪の徹底的な取り締まりを行いました。その結果、犯罪の発生率が半減し、同氏の手腕が高く評価されたことは良く知られている通りです。余談ですが、氏はその後のトランプ政権で大統領個人の法律顧問として不適切な行動を取ったとしてニューヨーク州などの弁護士資格が停止されています。
「割れ窓理論」は、上述のような小さな問題を放置せず、その現場、その地域の責任者(ニューヨーク市の場合は市警)が積極的に対処することによって、常に目が光っていることを強調して犯罪者がつけ込む隙を与えないという考え方です。
マンションで言えば、①建物とフェンスのメンテナンス、②清掃、⑤駐車場、自転車置き場、郵便受け、ごみ置き場、エントランスなどの共用部の管理、などを適切に行うほか、敷地内ですれ違う人に声を出して挨拶する習慣などが大事です。「きちんとした」雰囲気と毅然とした佇まいを醸し出すことは、オートロックや防犯カメラ等の設備設置と並んでマンション防犯に大きな効果をもたらすでしょう。
(防犯設備士 Yahosan)